たからもの
小学生の頃の話です。
うちから自転車で10分ほどの商店街の中に小さな雑貨屋さんができました。
田舎の小さな町では、それまで見たこともなかった手作りのおしゃれな雑貨がいっぱいありました。
仲良しの友人と二人いりびたっていましたが、何しろ子供なのであまりお金を持っていません。
買いたくても買えなくて、見るだけの毎日でした。
一番欲しかったのがガラスの指輪でした。
細いリングにコパーブラウンの小さな葉っぱが乗っていて、そこに丸いガラスがついているものでした。
この指輪、光にかざすと七色に変化するのです。
夕焼けの茜色、朝露の金色、光に透ける若葉色・・・・・。
そして、それまで一度も見たことのないような、輝くような青。
シリウスが手のひらに乗せられたらこんな感じかなという色でした。
それがどうしてもどうしても欲しくて、お小遣いをもらってすぐに買いに行きました。
そうしたら、その葉っぱつきのリングはもうなくなっていたのです。
あったのは葉っぱ無しのリングだけでした。
葉っぱのしずくみたいできれいだったからこそ、あのガラスのリングが欲しかったのに、葉っぱがない・・・。
すごく残念でした。
でも子供だったので、「葉っぱのやつはもうないんですか」とは、恥ずかしくて聞けなかったのです。
ものすごくがっかりしたけど、しかたなく、その葉っぱ無しのリングを買って帰りました。
ガラス玉だけでもどうしても欲しかったから・・・。
以来、○十年、それからずーっと私の宝物です。
全ての引越しについてきてくれた、宝物中の宝物。
今でも大事にしています。
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