工房nonaの日記

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レフカラ村


キプロスを発つ日。
空港に行く途中にあるレフカラ村に立ち寄ってもらいました。
ここは伝統工芸のレフカリティカというレースで有名なのです。
15世紀にヴェネツィアから来た女性によって伝えられたそうです。

行ってみると大きな観光バスが停まっていて、いかにも観光地って感じ。
村の中心はどの店も大小様々のレース製品やそのほかよくあるお土産品で埋め尽くされています。

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まあよくあることですが世界中どこへ行っても観光地というのは同じ雰囲気を醸し出しているもの。
流行りの温泉地みたいな感じなんですよね~。
それでも店によって多少は違いはあるんじゃないかと一軒一軒覗いてみました。
どの店もレースについての説明は同じ。

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伝統工芸。とても時間がかかる。テーブルセンターくらいのサイズで二カ月くらいかかる。
ベースの布は麻布で、アイボリーホワイトか濃いベージュのどちらかが基本。
糸の色も種類も決まっていて、白か茶。フランスからの輸入品。
模様はレオナルド・ダ・ビンチによってデザインされたものが有名。
細かい作業が嫌われて若い人はやらなくなってきてる。
視力が弱ってきた老人は縁かがりのレースだけを作っている分業制・・・。

なるほど・・・。

そしてそれだけのことはある美しさです。

「機械刺繍のものとの違いはここです。裏を見て。表も裏も同じなのが本物。こっちは機械。ね?」

はは~・・・。

でね、高いんです。
テーブルセンターくらいのもので20000円くらいかな。
ううう。ちょっと手が出ない。
それでも何かひとつくらいは記念に買って帰りたい。
そういえばさっきのお店では縁かがりのレースを後から別付けでまつりつけてたなあ。
おばあちゃんが作ったって言ってた・・・。

「すみません。あのー。もしさしつかえなかったら縁のレースだけ少し分けてもらえませんでしょうか。」
「いいですよ。」
やった!
「どのらい必要?」
「1メートルおいくらですか?」
「メートル? えーと、それは何ピヒかしら?ごめんね。この村ではまだ昔の単位が使われていて、フィートでもメートルでも無いの。」
「え?じゃ、じゃあピヒって何フィートなんですか?」
「だいたい2フィートかしら。」

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というわけで、3ピヒ購入。・・・1200円くらいだったかな?

彼女の娘さんももうレースの作り方は教わってないそうです。

「じゃ、娘さんがやらないとしたら?」
「終わりだわね。」

そうかあ。さみしいね。 このレース、大切に使わせてもらわなくちゃ。

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店を出たらもうすることがない。
でも時間はまだたっぷりあるし・・・。
ということで村の中をぶらぶら散歩してみることにしました。
そしたらねえ、この村めちゃめちゃ小道が素敵なんです。

建物がみんな、石畳も、家の壁も、見えるもの全てみんな素敵。
歓声を上げながら迷路のような細い道をどんどん進んで行ったら、ひときわきれいな小道にさしかかりました。
赤いゼラニウムが似合う、石畳の小道。
大騒ぎで写真を撮っているとひとりのオジサンが現れました。

「素敵な小道ですねー!ほんっとに感動しました!」というと、オジサン、とっても嬉しそう。
「ここはねえ、こっちも、それからこっちも俺んち。」
「ええっ?すごい!おじさん、これは稼げますよ!すっごく素敵だもん!こっちは宿にしてください。ぜひ泊めてほしい!」
するとオジサン、ニコッともせず「お金には興味が無いんだ。これは友達が来た時に泊まってもらうゲストハウスなんだ。」
ちょっと恥ずかしくなった日本人、ここにひとり。
内心赤面していると、オジサンたら、「中を見てみるかい?」
うっきゃ~!嬉しい!
「ほんとに?」

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うわー、素敵な中庭!
ドアをくぐるとまずは中庭があるんだね。
スペインのパティオみたい。

どうやら改築工事中らしく、中庭の隅にセメント袋や何かの工事の道具がころがっています。
真っ黒に日焼けしたお兄さんが、はずしたドアに一生懸命塗料を縫っています。

「家の中もどうぞ。」 ええ~!?嬉しい!

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「これわかる?」
おおお!薩摩焼き!!
どうも世界中を旅するお仕事だったようで、各国から集めに集めたコレクションがどの部屋にもぎっしりなんです!
オジサン、趣味炸裂だ~。

リビングもゲストルームも台所も、果てはバスルームやトイレにまで所狭しとお宝が並んでいたりぶら下がっていたり。
壁も隙間なく絵が飾られていてにぎやかです。

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これは日本の、って紹介されたものがどう見ても中国製だったりしたのはご愛敬。

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「これは化石。島でこれが取れるところがあって。おれが自分で掘ってきて貼りつけたんだ。結構大変だった。」そりゃそうでしょうよ。


寝室まで見せてもらっちゃって、もう大サービスだねえ。
さらにその寝室の奥には急なハシゴがかかっていて、小さな小さな部屋が作ってありました。

「本が多いからここに移したんだ。」

ほんと、本がぎっしり。アートの本が多かったなあ。
壁にはペルーのタペストリーがかかっています。
暖かい電球の灯りがいい感じ。隠れ家気分が盛り上がる。

この時点ですでにすっかり気にいられちゃった友人、自分はダンナと二人でキプロスに住んでるんだ、ここを見せたかったと残念そうに言うと、オジサンたらすっかり喜んで、「そうかい。ぜひ二人で泊まりにおいで。でも、この部屋に泊まる時はエッチ禁止だよ。」 もうみんな大笑い。

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「このアフロディーテが俺の恋人。」 オジサン、ひとり暮らしなの?

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「ゲストハウスを見るかい?こっちへどうぞ。」

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いやーん、オジサン、趣味いい!スキー、こういう雰囲気!

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二階の渡り廊下というかミニミニペデストリアンデッキというか・・・から眺めた小道がまた素敵!

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最後はお手伝いさんが作ってくれたレモネードまで頂いちゃいました。
おいしかった~。

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ここまでしてもらったのに何にもお礼に差し上げるものがなく、どうしたものかと考えてふと思いついたものが日本のコイン。
穴のあいたコインというのは世界的に見ても結構珍しいものなんです。
5円と50円、二つも穴あきコインがあるしね。
財布の中を探ると幸い全種類のコインがそろってました。

1円、5円、10円、50円、100円、500円。

旅の間はお金が足りなくなると大変だからいいよ、というおじさんに、大した金額じゃないからぜひ、とコインを手渡しました。

そしてその手から5円玉を取り上げて説明しました。

「これ。これは日本語では ”ごえん” と発音します。
 ”ごえん”は二つの意味を持っているんです。
 そのまま5円という意味と、もうひとつ同じ発音で、”良い縁”いう意味があるんです。
 ほんとうにありがとうございました。」

オジサン、嬉しそう。良かった。

別れ際、ほんとうにありがとうございましたとお礼を言うと、
「こちらこそ楽しかった。改築工事が思うように進まなくて落ち込んでたんだけど、あんたたちのおかげで元気が出たよ。
それからあんたはぜひ泊まりに来てよ。ほんとに。住所と名前、書いとくから。」

友達は住所交換してました。
いいな~。(^^


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レフカラ村がこんなに素敵なところだったなんて、と友人も大絶賛。
レースが売り物ってだけの観光地というイメージしかなくて、村の中まで散歩してみたことなかったんだって。
彼女も私と同じく絵を描く人なので「絵になる風景」には目が無いんです。
この後、たまたま街の博物館に遭遇し、入ってみて初めて知ったんですが、ここは町並み保存地区らしいです。
どうりでね。
新築の家でも昔ながらの素材が使われていて、石畳もみんな同じ雰囲気で、そのせいで街が調和がとれていて美しかったんです。
日本で買って行った観光ガイドにはそんなこと全然書いてなかったんですよね。
レースで有名な村というだけのほんの小さな紹介だけだった。
もっと取りあげられてもいいくらいなのになあ。
でもこんなに美しく静かな村の中に、カメラをぶら下げたうるさい観光客が多くなると村の人には迷惑かな・・・。
ここはこのまま静かな方がいいのかも。

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村を降り、空港の近くの街のレストランでキプロス最後の食事。
木陰が気持ち良い。

いい島だったなあ。

ありがとね、友よ。
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by kobo-nona | 2010-05-09 12:23 | 旅行・お出かけ
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