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工房nonaの日記

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モロッコ 4 迷宮都市フェズ


翌午後遅くアルホセイマを出た私達は次なる目的地フェズに向かった。
次にお邪魔させていただく予定のハッサンの妹の結婚式は2日後の深夜から。
それまでの間、フェズを楽しむことにしたのだった。

フェズはモロッコの中でも最も古いメディナのある町だ。
迷路のような細い道がくねくねと続き、上ったり下ったり、行き止まりになったり、へたをすると迷って出てこられなくなってしまう。
前回来たときにはあまり時間が無く十分に見られなかったので、今回はフェズに泊まってたっぷり堪能することにした。

夜10時過ぎにフェズに到着したのだけれど、ここも電飾ぎらぎらでお祭りのようなにぎやかさだった。
どうやらアルホセイマの深夜のにぎわいというのは別に王様来訪のせいじゃなく、モロッコならどの都市でもあたりまえの光景らしかった。

フェズのメディナは大きい。
時代の違う二つのメディナと、さらにそれに隣接する近代都市が重なりあうようにしてできあがった町なのだ。
もう真っ暗だったので目印になるものがよく見えず、外周道路ですでに何度も迷いながら、やっとの思いで旧市街の入り口にたどりつき車を止めた。
駐車場のおじさんに今晩の宿を探していると告げると、ひとりのおじさんが「オレが案内する」とさっさと先にたって歩き出した。
私たちもあわてて重い荷物を担ぎ急いで後についていった。

メディナの中はまだまだ昼間のようなにぎやかさだった。
あちこちでおいしそうな匂いやら煙やらが立ち上っている。
実は私達はおなかがぺっこぺこだった。
フェズならいくらでもおいしいものにありつけるだろうから、腰を落ち着けてからゆっくりいいものを探そうとその一心でずーっと我慢して走り続けてきたのだった。
のどもからから。いいにおいでお腹がぎゅ~っ。はやく、はやく。
でも全てはホテルに荷物を置いてから。全ては身軽になってから。

しかしながらおじさんが連れて行ってくれるホテルはどこも満室、満室・・・。
一生懸命ついていきつつも、私たちもだんだんうんざりしてくる。

そして重い荷物を抱えた旅人を見かけると必ず寄ってくるのが自称ガイドの怪しげなあんちゃんである。
「俺ならもっといいとこ知ってる!」
「ほら見てみて!正式なガイド証明書も持ってる!」
「日本人の友達もいっぱいいる!」
すでにガイドのおじさんにくっついて歩いているにも関わらず小走りについてきて耳元でさわぐ小柄なあんちゃん。
あーもーうるさいうるさい!

こういうとき、何がつらいって、もうこの自称ガイドのつきまといが一番つらいのだった。
歩きつづけることよりも、腹ペコなことよりも、疲れていることよりも。
ああ~ん、うるさいうるさい。五月蠅いよう!
・・・うんざりしつつ、「五月のハエって、よくあてたもんだ。」と変なことに感心している私だった。

おじさんはさらに遠くのホテルへと案内しようとする。
これじゃいつまでたっても決まりそうに無い。
あとは自分たちで探すからと、おじさんにお礼を言って多少のお金を渡し、別れた。
メディナに泊まるのは明日にしよう。
明日、昼間にゆっくり探せばいい。
とりあえずは新市街で普通のホテルに泊まることにした。

狙いをつけた一軒目で無事一室を手に入れ、荷物を置いて外に出ると、ラッキーなことにホテルの周りは飲食店だらけだった。
おいしそうな匂いがあちらからもこちらからも・・・。

ああ、でもとにかくこういうときは手っ取り早くハリラを飲みたい。
ハリラは、トマト、たまねぎ、お肉、豆などをとろとろになるまで煮込んだ栄養満点のスープだ。
これさえあれば他はいらないというくらいおいしくて腹持ちの良いスープ。

タジン鍋が書かれた看板のある店に入る。
タジンがあってハリラがないなんて、モロッコの店じゃありえないからね。
ここなら絶対。
「ハリラ。」
おじさん、にっこり。さっそく持ってきてくれた。
あーーーーー。生き返るーーーー。おいしいーーーーー。
アルホセイマに行く途中で食べた屋台のハリラとはぜんぜん違う。やっぱりおいしい~。
満足満足。


そして次の日。
元気を取り戻した私達はいよいよフェズの迷路に突入した。
自分たちで決めたホテルは、バッグパッカー御用達のクーラーもない安ホテルだけれど、パティオもあってなかなかかわいい。
部屋の窓枠が私の大好きな淡いペパーミントグリーンというところも好みだ。
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トイレ、シャワーは共同。
まあ正直きれいとは言いがたいが、こんなもんだろう。しかたない。
フェズのメディナの中って、中級ホテルが無いに等しいらしいのだ。
超安ホテルか、超高級ホテルか、二択なんだそうだ。
とにかく古いふるーい町だから、ここらへんをざっと壊して新しいホテルをなんてまず無理だからねえ。

それにしてもメディナの中はほんとうに面白い。
次の角を曲がると何があるのかわくわくする。

スパイス
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床屋
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太鼓屋
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荷物運びのロバ君たち
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モスク
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おやつ感覚の豆のスープ と スープ屋のおじいさん
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真鍮の加工屋さん
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八百屋の店番少年 自慢の鳩を見せてくれました
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染色のスーク 「今週は赤」だそう 色は5色 青赤黄緑黒だったかな 週代わりなんだと
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葉っぱ屋さん  コリアンダー イタリアンパセリ スベリヒユ(どうやって食べるんだろう。)  
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魚屋さん  驚いたことにフグとサメを売ってました!
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縫製材料屋さん  インド製のものが多かった
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陶器屋さん
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ミントティー屋さんで   
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このグラスが欲しくて欲しくて、お兄さんに頼んで、使っているものを二個買わせてもらった


ミントティーというのは乾燥ミントで淹れたお茶ではない。
ベースは中国緑茶である。
銀のポットの中に中国緑茶と角砂糖をしこたま入れ、その上に生のミントを茎ごとぎゅーぎゅーつめこんで、熱いお湯をたっぷり注いだものがミントティーなのだ。
そして強力に甘い。初めて飲んだ人は必ずやその甘さに仰天すると思う。
緑茶に砂糖を入れる習慣の無い日本人にとって、これは慣れないと飲み続けられない甘さかも。

このミントティーについては前回ハッサンのうちにお邪魔したときの忘れられないエピソードがある。

お父さんがミントティーを入れてくれたんだけど、これがもう甘くて甘くて、コメカミがきーんと痛くなるほどだった。
そこで、「申し訳ないけれど日本人にとってはこれは甘すぎるから、次からはぜひ砂糖は別にいただけないか。自分たちで甘さを調節したいから。」と言ってみた。
お父さんはちょっとびっくりしたようだったけど快く了解していただけて、この問題は無事解決したのだった。
ところが後になってハッサンから「実は自分たち子供も、あれは甘すぎるとずーっと思ってた。でもお父さんだから言えずに我慢してたんだよ。おかげでセツコたちが帰った後も、砂糖は別々に個々で入れるという習慣が残って、みんなほっとしたんだよー。」だって。
はっはー。面白い。モロッコ人でもやっぱりあれは甘すぎたんだ~。


丸一日、足が棒になるほど歩き回って楽しいフェズの一日は終わった。
そして夜、例の安ホテルで寝ようとしたのだが・・・・。
暑い。 というか・・・ 熱い・・・。
ベッドが冷めないのである。
昼間の熱気で暖められたままのベッドが熱を放出し続けていて、とてもじゃないが寝られない。
夏にもかかわらず電気毛布をしいてるような暑さなのだ。

何度も何度も寝返りを打ち、しまいには床にじかにショールを引いて寝てみたけど、それでも熱くて寝られない。

最後の手段。

ベッドに水をまいた。

モロッコの気候は信じられないほどドライである。
びっしょびしょに濡れている洗濯物も2時間でからからに乾くほどなので、ベッドにまいた水はみるみるうちに蒸発して行く。
その気化熱で涼しく寝られるという寸法である。
熱くなって目が覚めるたび、しゃばしゃばちょろちょろと水を撒き、やっと寝ることができた私たちなのであった。




丘の上からフェズのメディナを見る
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メディナにはいる門   門はたくさんある
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ロバ君
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by kobo-nona | 2008-08-02 11:18 | 旅行・お出かけ
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